6/1(土) 『こたえは森のなか』出版記念イベント ~子どものせかいを聞く~ 中島久美子×鈴木純

6/1(土) 『こたえは森のなか』出版記念イベント ~子どものせかいを聞く~ 中島久美子×鈴木純

(撮影:加々美吉憲さん)

山梨県北杜市に「森のピッコロようちえん(以下、ピッコロ)」という、保育士と保護者が共同で運営するようちえんがあります。

ここで行われる、自然のなかで、「信じて、待つ保育」は、小さな自主運営の団体であるにも関わらず、全国からの視察が絶えず、2021年には映画「life ライフ ~ピッコロと森のかみさま~(https://piccolo-m.officehal.net/)」(監督:筒井勝彦/製作:オフィスハル)が公開されるなど、その注目度はますます高まるばかりです。

ピッコロに入園するために移住してくる家庭もあるほど、人を惹きつける魅力があるようちえん…。ピッコロとは、一体どのような場所なのでしょうか。

その手がかりになる本が、今年4月に刊行されました。ピッコロ代表の中島久美子さんによる、『こたえは森のなか』です。

中島先生が担当している、山梨の子育て応援誌『ちびっこぷれす』の連載の初期の原稿が、1冊の本にまとまりました。簡潔に表現することが難しいピッコロの保育も、1冊を通して中島先生の文章を読むと、その輪郭が浮かび上がってきます。

全国の皆様に、ぜひ手に取っていただきたい本なので、今回はその出版記念イベントを企画しました。

中島先生の対談相手として、植物観察家の鈴木純さんも登壇します。鈴木さんは、フリーの植物ガイドで、本の執筆やテレビへの出演などもされています。現在、ピッコロに我が子を預ける在園の保護者でもあるので、中島先生と鈴木さんの対談の形で、会を進めていきます。

子どもを見つめる眼差しと、自然を見つめる眼差し、その2つが交差する形で、ピッコロの魅力が伝われば幸いです。

鈴木さんからの熱い思いと、対談の内容イメージは最後に掲載しますので、まだピッコロのことを知らない方は、画面をスクロールして、まずそちらをお読みください。

ピッコロをすでにご存知で、お申込み希望の方は、下記の概要からご覧ください。皆様のご参加、心よりお待ちしています。

【イベント概要】
『こたえは森のなか』出版記念イベント
~子どものせかいを聞く~ 中島久美子×鈴木純

●日時
2024年6月1日(土) 18時30分~20時30分

17:30開場
18:30~18:35 『こたえは森のなか』出版の背景について(加々美吉憲さん:ちびっこぷれす編集長、『こたえは森のなか』編集・写真)
18:35~19:00 森のピッコロようちえんとは?(中島久美子さん:森のピッコロようちえん代表)
19:00~20:00 子どものせかいを聞く(中島久美子さん、鈴木純さん対談)
20:00~20:30 質疑応答
(※途中、一度休憩をはさみます。)

●場所
カフェスロー
東京都国分寺市/国分寺駅南口より徒歩約5分)
http://cafeslow.com/access/

●参加費
2,000円+1ドリンクオーダー(事前予約)
2,500円+1ドリンクオーダー(当日参加)

*小学生以下は無料です
*定員60名

●会場でのお食事について
事前予約制にてオーガニックお弁当2種類をご用意しております。ぜひご一緒にいかがでしょうか。

A:季節の発酵ヴィーガンスロー弁当 1,400円税込<内容>主菜、季節野菜の付け合わせ、さわのはな玄米ごはん、そして人気のひたし豆。カフェスローの看板メニュー「スロープレート」をお弁当BOXに詰め込みました。

B:国産全粒粉・車麩カツの海苔弁当 1,000円税込<内容>国産全粒粉車麩カツ、季節野菜の付け合わせ、さわのはな玄米ごはん、海苔。豊かな芳香の焼きのりを、昆布醤油に浸し、もっちり炊き上げたさわのはな玄米にのせました。より多くの方にカフェスローのお食事を楽しんでいただけるよう、ヴィーガンスローBOXより内容量は少なめですが、人気の車麩カツを主菜に手の届きやすいお値段でご用意いたしました。こちらもヴィーガン対応です。

*写真はイメージです。季節により内容が異なります。
*お弁当の申込締切:5月29日(水)18時まで。
*当日2杯目からのドリンクはキャッシュオンでご購入いただけます。
*通常のカフェ営業メニューはございません。
*飲食物のお持ち込みはご遠慮いただいております。

●中島久美子プロフィール幼児教育家。東京・横浜・山梨県内の幼稚園・保育園に勤務後、「時間に追われることなく、子どもと向き合う保育をしたい」と、「森のようちえんピッコロ」をお母さんたちと立ち上げる。「想像以上に子どもはすごい!」と驚きの毎日。小学館雑誌『3,4,5歳児の保育』2010年2月号の第45回「わたしの保育」において保育での出来事を綴った「動物の死」が大賞受賞。地球元気村特別講師。2023年10月に著書『森のピッコロ物語』(中村堂)、2024年4月に『こたえは森のなか』を刊行。

●鈴木純プロフィール

(撮影:前田聡子さん)
植物観察家。植物生態写真家。また、現在はピッコロ在園の保護者。
東京農業大学で造園学を学んだのち、中国で砂漠緑化活動に従事する。帰国後、国内外の野生植物を見て回り、2018年にまち専門の植物ガイドとして独立。著書に『そんなふうに生きていたのね まちの植物のせかい』(雷鳥社)、娘の成長エッセイ『子どもかんさつ帖』(アノニマ・スタジオ)、写真絵本『シロツメクサはともだち』(ブロンズ新社)など多数。NHK『ダーウィンが来た!』をはじめ、テレビやラジオへの出演や取材協力なども行う。

●森のピッコロようちえんHP
http://mori-piccolo.jp/
(HP内の「ピッコロの保育」のページ、ぜひご覧ください)

●お申込み
下記のフォームよりお申込みください。
https://forms.gle/aQEyuNAFoYoMVkEG9

●主催
ピッコロ在園 保護者有志
お問合せは、上記のお申込みフォームからご連絡ください。

●以下、中島先生の対談相手の鈴木純さんから、イベントに向けてのメッセージです。

みなさまこんにちは。鈴木純と申します。

我が子がピッコロに入園し、今年度で3年目になりました。在園の期間が長くなればなるほど、ピッコロで行われる保育の面白さに夢中になっています。

ピッコロは、全国からの視察依頼が途切れず、映画化もされるなど、すでに広く注目を集めているようちえんではありますが、僕はもっともっと多くの方に、その存在を知っていただきたいと思っています。なぜならここには、保育という枠を超え、いまの時代を生きていくためのヒントが多くあると思うからです。

簡潔に魅力を伝えることが難しい場所なので、ここではイベントの導入として、ピッコロの「いつものあさ」のことだけ3つ、書かせてください。ピッコロがどのような場所なのか、ほんの少しだけでも伝われば嬉しいです。

・ピッコロのあさ① 子どもたちが自らはじめる「朝の会」

ピッコロには園舎がないので、朝は外のベンチ(というか、長い板)に輪になって座り、「朝の会」をするところから保育がはじまります。ここに、いきなりピッコロの見どころがあります。

▲朝の会の様子(撮影:加々美吉憲さん)

なぜならこの朝の会、先生たちが子どもたちに声がけをすることなく始まるのです。朝、みんなが揃った頃合いになると、なぜか子どもたちは自らで声をかけあい、または自分で気付くなどして、自主的に朝の会をする場所に集まってきます。そして、先生にこう声をかけます。「(先生、)朝の会するよー」と。

たまに中島先生は、そういう時に保護者と喋っていたりして、子ども達から声をかけられて、「あっ、そうだね」なんて言いながら、すでにみんなが集まっている朝の会の場所に向かうこともあります。

先生が子どもに声をかけてはじまる「朝の会」ではなく、

子どもが先生に声をかけてはじまる「朝の会」。

もう見慣れてしまいましたが、僕が入園した当初は、この朝の会のはじまり方にまず衝撃を覚えました。こんなこと、あるのか…、と。

ピッコロでは、どうしてこんなに子どもたちが主体的に動くのか。入園3年目になっても僕にはまだ謎のまま。まずはこのあたりのことから、イベント当日に中島先生の考えを聞いてみたいなと思っています。

・ピッコロのあさ②「朝の会が、なが~い!(時がある)」

ピッコロでは、森や川など、遊びに行ける場所がいくつもあります。なので、朝の会ではまず、今日行く場所をみんなで相談して決めます。その際、やはり先生たちは話し合いを主導せず、子どもたちが自分たちで行く場所決めを行います。

▲一日を過ごす場所の選択肢はたくさん!(撮影:加々美吉憲さん)

基本的には多数決なので、「森さん立って~(森に行きたい人、立って)」とか「川さん立って~(川に行きたい人、立って)」などと、子どもたちの中で誰かが言い出し、それに合わせて、みんなが立ち、希望者が多い場所に行くことになります。

でも、多数決の数を数えるのも子どもなので、正確に数えられていない時があれば、途中でまったくちがうことでケンカが起きたり、話が脱線したりで、行く先がまったく決まらない日もあります。

長い時には、行く場所が決まるまでに1時間以上も(!)かかる時があるのですが、それはそれで良しとするのが、ピッコロの面白いところ。

「行く先を決める」ということだけでも、子どもたちはそれぞれが、自分の気持ちを考え、他者の反応を受けとめ、心を揺れ動かしているようで、先生たちは、その時間を大切にしてくれているように見えます。

多分、そうした日々の積み重ねこそが、自分や相手の気持ちを見ながら主体的に動くピッコロの子を作っているのだろうなぁと僕は感じていて、ここにこそ、ピッコロの保育の真骨頂があるような気がしています。

今回の対談では、なるべく具体的な事例を通して、「信じて、待つ」とはどのようなことなのか、中島先生に話を伺いたいと思っています。(これがメインテーマになるといいなと考えています)

ちなみに、こんなことを毎日やっているので、ピッコロの子たちは、年少から年長まで、関わり合いがとっても上手。どこかで誰かが泣くと、みんながワーッと集まってきて、「こういう気持ちだったんじゃない?」とか、「こうすれば元気になるんじゃない?」と、みんなでワイワイ相談がはじまります。そして、(先生たちの絶妙なフォローはありつつも)大抵のもめごとは子どもたちが解決していきます。

▲誰かが泣くと、みんなが駆けつけてくる。ピッコロでは見慣れた光景。(撮影:加々美吉憲さん)

そういえば、「ピッコロの子は、大人に告げ口をしない」と言われることがあるのですが、僕自身、たしかにこの2年の間に、子どもが先生や保護者に告げ口をしているところを見たことがありません。

ピッコロでは、対人関係のトラブルを、大人が主導して解決することはせず、子どもたち自身が解決していくので、ここの子たちにとっては、大人に告げ口をする必要がそもそも無いのだろうなぁと思うのですが、これこそ、言うは易く行うは難し。先生たちは本当に難しく大変なことをしてくださっているのだろうなと思います。(だって、大人が解決しちゃった方が楽だし、早いですからね。)

ピッコロのあさ③ 一日園長で、保育をずっと見ていられる

そして、なぜ保護者である僕が、朝の会やピッコロの保育のことをこうして書けるのかというと、それはピッコロが保育士と保護者が「共同」で運営する場だからです(保育は保育士が行い、運営は保護者が行っています)。ピッコロを語る時、これもとても大事な点になります。

これは、中島先生の言葉を借りるなら、「保育士と保護者が、入園と同時に『同僚』になる」ということです。なので、保護者が保育のことを知っているのは、ピッコロの在り方としては当然といえば当然なのです。

それを象徴する仕組みとして、「保護者による一日園長」というものがあります。これは、保育時間中に保護者がずっとピッコロにいて、保育の手伝いや、その他発生する諸々のことに対応するという仕組みです。

保育自体は、先生と保育スタッフが担うことになっているので、一日園長にはいる保護者はあくまでもサポート役。でも、月に一回の頻度で園長に入ることが出来ると、ピッコロで先生たちがどんな保育をしてくれていて、我が子のみならず、在園の子たちがどのように育っているのかを、自分の目で見ることが出来ます。

▲我が子以外の子どもの様子を知れるのも嬉しい。(撮影:加々美吉憲さん)

これによって保護者は、自分の子がいまどんな成長段階にあり、どのような楽しみを持ち、どのような壁にぶつかっているのかを知ることができ、先生や保護者同士で、悩みの共有をすることが可能になります。これは、保護者としては、本当にありがたいことで、家庭での子どもとの関わり方にも良い影響を与えてくれます。

僕は一日園長に入るのがいつも楽しみで、朝の会の時にはメモを取りながら、フムフム、子どもの世界はこうなっているのか…と勉強をしています。

たぶん、保護者が保育のことを理解しているからこそできる保育の内容というのがあるのではないかなと僕は思っているので、こんなところもイベント中に詳しく話せるといいなと思っています。

と、こんな調子で、書こうとすればいくらでも書き続けることができそうなのがピッコロです。底知れぬ魅力をもったようちえんなので、今回はどんなところまで中島先生から話を伺えるか、いまからとっても楽しみにしています。

簡潔に語ることが出来ないピッコロの魅力に、すこしでも近付けたらいいなと思っています。ぜひぜひお越しください!

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