桃探訪記 ~ 山梨一宮町を訪ねて

桃探訪記 ~ 山梨一宮町を訪ねて

忙しい日々から離れ、私たちのところへ届く桃たちの風景に会いに、最繁忙期を迎えていらっしゃる宝桃園さん、大北農園さんへお邪魔しました。
電車から降り立ったそこは、盆地ならではの湿度が身体を包み、眩しい日差しと青空が迎えてくれました。

「どっちの桃が美味しいとかではなく、味の違いが畑の個性だから。」

畑に伺う前に、そして伺った際にかけていただいた言葉です。
私たちは、ついこちらのほうがよいとかそういったところで判断してしまうことがあります。
それは食べものでも、その他多くのことに関して判断をするということ自体が当たり前になっています。
ですが、判断という思考を置いてみれば確かにそれは個性、そのものだということが分かります。
カフェスローの厨房に立って料理をしていると当たり前に感じていることです。
全く同じ素材で同じ手順、同じ調味料でも、その人の味というのが必ずあります。

畑が違うというのももちろんその通りですが、そのものに乗せられた人の温度や想いが、その個性を形造っているということを改めて感じます。

軽トラの荷台に乗って、桃の木の間を抜けた風は心地よく、辺りを満たす桃の香りは思わず目を閉じてうっとりするほどでした。

手間ということばには収まらないほどの時間と愛情をかけて、全てを注いで育てられた桃たち。
畑に豊かに実るその風景を見上げたとき、桃の先にある人の温度を、そこに注がれた想いが伝わってくるようでした。

目指す場所がある、そこへ向けられた視線、想いを言葉の端々から感じました。

大切にしている場所があって守りたい風景がある、家族との風景が、そこでの暮らしが、束の間の時間でも五感すべてで感じられました。
それを体感できたことが何より幸せでした。

ご縁頂き今年で9年目の桃を届けて下さっている、宝桃園の堀井さん

私たちはこの方たちの想いものせて料理をしているのだ、という自覚を改めて感じていました。
お互いに顔を合わせて声に耳を傾ける、そのことが人と人を繋ぐ、私たちを繋ぐすべてであるということ。
お互いに理解しようと努めること、歩みより、見ている方向を共有するということが、人と人との間での改めて大切なことであり、同時に、関係が始まるということなのだ、ここからスタートするのだというのが体感できたひと時でした。

今回、初めてお会いできた大北農園の風間さんご夫妻(&白目ピーチボーイズ)

想いは必ず形になる、ということを改めて感じています。
形を目指すプロセスは人それぞれであり、その形さえも個性としてそれぞれの形となっていくということに想いを巡らせていました。

毎年美味しい桃たちがカフェスローにはやってくるわけですが、実際に作り手の皆さまにお会いすると迎える気持ちも格別です。
宝桃園さんの桃は堀井さんとご家族を、大北農園さんの桃は風間さんとご家族を、そしてその先にある桃の畑の風景を身近に感じられます。
より愛おしく、「いらっしゃい。美しく、美味しくするからね。」という心の声を思わずかけてしまうものです。

(キッチンまよ)

・宝桃園ウェブサイトこちら

・大北農園ウェブサイトこちら

宝桃園&大北農園さんのピーチパフェ:ピーチフェア2019

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